KDDIは、法人向け新ブランド「KDDI MULTI CLOUD」を立ち上げた。デバイス、ネットワーク、データセンター、アプリケーションまでをシームレスに統合するクラウドソリューションを提供する。
「KDDI MULTI CLOUD」は、クラウドサービスをデバイスから発想し、携帯および固定のネットワーク、データセンターおよびアプリケーションを統合的に提供するためのクラウドソリューションのブランドとなる。クラウドソリューションを導入しやすい傾向にある、従業員数1000名以下の大企業および中規模企業をメインターゲットとして展開していく。小規模企業向けのソリューションについても今後提供される予定。
端末、ネットワーク、データセンター、アプリケーションをKDDIが一括で請け負って、導入企業の効率化を進める。また、他社システムインテグレーターやサービス事業者など、現在競合関係にある企業とも積極的に協業する方針で、企業ニーズに応じて、柔軟に他社サービスとの連携も図る。
KDDIのソリューション事業本部長である東海林崇氏は、大企業は依然としてIT資産を自社で開発および管理しているが、ITインフラは「所有から利用」、つまり開発投資、運用管理を企業から切り離し、事業運営スピードを加速させられる環境にあるとする。
しかし、クラウドを活用し、より効率的な事業運営が実現できる一方で、その利用状況はかんばしくない。東海林氏は、総務省の調査結果を示し、86%の企業がクラウドを活用しておらず、42.9%が使う予定がないと回答していると説明した。利用されない理由として同氏は、クラウドサービス自体の認知度不足と、導入障壁の高さを挙げた。ただし、東日本大震災以降、企業のBCP(business continuity plan、事業継続計画)へのニーズは高まっているという。
たとえばテレワークを利用する場合、データセンターやアプリケーションの契約や設定のほかに、ネットワークの契約や設定、信頼性のチェックや保守運用など、各レイヤー毎に契約や設定の手間が生じる。この手間がクラウド導入を鈍らせているという。「KDDI MULTI CLOUD」では、KDDIが一括してソリューションを請け負うことで、端末、ネットワーク、データセンター、アプリケーションのシームレスな利用を促進させる。
東海林氏は、「KDDIはこれまでもクラウドをやってきたが、顧客にとって何がいいのか? 携帯やスマートフォンから、パソコンから、プラグイン的に目的に到達できるシームレスな世界、デバイスから見て使い易いサービスが本当のクラウドサービスではないか」と語る。KDDIは中長期の成長ビジョンとして、マルチデバイス、マルチネットワーク、マルチユースの「3M戦略」を掲げており、「KDDI MULTI CLOUD」はこの戦略とも合致する。なお、クラウドサービスはKDDI社内でも導入されており、DaaS(Desktop as a Service)、つまり、データをサーバー側に起いてデスクトップ環境をクラウド化するソリューションがもっとも活用されているという。
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